毎月支払っている保険料、本当に適切な金額でしょうか?多くの家庭では、必要以上の保険に加入しているため、年間で数万円から十数万円もの無駄な保険料を支払っています。
この記事では、保険のプロが実践している見直し方法をもとに、あなたの家計に最適な保険プランを見つける方法を詳しく解説します。
保険料が家計を圧迫している現実

日本人の保険料負担の実態
生命保険文化センターの調査によると、日本人の世帯年間保険料は平均約37万円となっています。月額換算すると約3万円もの金額を保険料として支払っていることになります。しかし、この金額が本当に適切なのか疑問に思ったことはありませんか?
よくある保険の加入パターン
多くの人が陥りがちな保険の加入パターンには以下のようなものがあります:
過剰な死亡保障: 必要以上に高額な死亡保険に加入しているケース 重複する医療保障: 複数の医療保険に加入し、同じような保障が重複しているケース 不要な特約: 基本保障に加えて、実際には使わない特約を多数付けているケース
これらのパターンに当てはまる場合、保険料を大幅に削減できる可能性があります。
掛け捨てと貯蓄型:どちらが家計にお得?

掛け捨て保険のメリット・デメリット
メリット
- 保険料が安い
- シンプルな保障内容
- 見直しが容易
デメリット
- 解約返戻金がない
- 保険期間終了後は保障がなくなる
貯蓄型保険のメリット・デメリット
メリット
- 解約返戻金がある
- 保障と貯蓄を同時に行える
- 満期保険金が受け取れる
デメリット
- 保険料が高い
- 利回りが低い
- 中途解約時の元本割れリスク
家計管理の観点からの選択基準
家計管理を重視するなら、基本的には掛け捨て保険がおすすめです。理由は以下の通りです:
コスト効率: 同じ保障内容なら掛け捨ての方が圧倒的に安い 柔軟性: 家族構成や収入の変化に応じて見直しが容易 資産形成: 保険料の差額を投資に回すことで、より効率的な資産形成が可能
例えば、30歳男性が3,000万円の死亡保障を得る場合、掛け捨て保険なら月額3,000円程度ですが、貯蓄型なら月額2万円以上になることも珍しくありません。差額の1万7,000円を年利3%で運用すれば、30年後には約1,000万円以上の資産になります。
本当に必要な保険の見極め方

必要保障額の正しい計算方法
保険の見直しで最も重要なのは、本当に必要な保障額を正確に計算することです。
死亡保障の必要額計算
- 遺族の生活費(月額)× 12ヶ月 × 必要年数
- 教育費(子ども1人あたり300万円~2,000万円)
- 住宅ローン残高(団体信用生命保険でカバーされる場合は除く)
- 葬儀費用(300万円程度)
これらの合計から、遺族年金や貯蓄額を差し引いた金額が必要保障額となります。
ライフステージ別の保険見直しポイント
独身時代
- 死亡保障は最小限(葬儀費用程度)
- 医療保障は手厚めに
新婚・子育て世代
- 死亡保障を手厚く
- 医療保障は標準的に
子どもの独立後
- 死亡保障を大幅に削減
- 医療保障は維持
老後
- 死亡保障は最小限
- 医療保障は手厚めに
共済という選択肢:低コストで必要十分な保障
共済の特徴とメリット
共済は、民間の保険会社とは異なる非営利組織が運営する保障制度です。主な特徴は以下の通りです:
低コスト: 営利を目的としないため、保険料が安い 剰余金の還元: 決算で余剰が出た場合、割戻金として還元 シンプルな商品設計: 複雑な特約が少なく、わかりやすい
主な共済の種類と特徴
都道府県民共済
- 月額1,000円~4,000円程度
- 死亡・医療・障害を総合的に保障
- 18歳~65歳まで加入可能
コープ共済
- 生協組合員とその家族が対象
- 手頃な保険料で充実した保障
- 医療共済が特に人気
JA共済
- 農業協同組合の共済事業
- 建物・自動車から生命・医療まで幅広く対応
- 組合員でなくても加入可能
共済を活用した節約例
例えば、30歳男性が以下の保障を得る場合の比較:
民間保険の場合
- 死亡保障2,000万円:月額8,000円
- 医療保障:月額3,000円
- 合計:月額11,000円
共済の場合
- 県民共済総合保障2型:月額2,000円
- 追加の死亡保障:月額3,000円
- 合計:月額5,000円
この場合、月額6,000円、年間7万2,000円の節約が可能です。
保険ショップの無料相談を賢く活用する方法
保険ショップ利用のメリット
複数社の商品比較: 一度に複数の保険会社の商品を比較検討できる 専門家のアドバイス: 保険の専門知識を持つスタッフが相談に乗ってくれる 無料での相談: 相談料は無料で、じっくりと検討できる
無料相談を受ける前の準備
現在の保険の整理
- 加入している保険の保険証券を持参
- 保障内容と保険料を一覧にまとめる
- 不明な点をリストアップ
家計の現状把握
- 月々の収入と支出を整理
- 保険料として支払える上限額を設定
- 将来のライフプランを整理
相談時の注意点
複数の保険ショップで相談する 提案内容を比較するため、2~3社で相談することをおすすめします。
即決は避ける その場での契約は避け、必ず持ち帰って検討しましょう。
手数料の高い商品に注意 保険ショップは手数料収入で成り立っているため、手数料の高い商品を勧められる場合があります。
家計に適した保険料負担の考え方

保険料の適正水準
一般的に、保険料は手取り収入の5~10%以内に抑えるのが理想的とされています。例えば、手取り月収30万円の場合、保険料は1万5,000円~3万円程度が適正な範囲です。
保険料削減の優先順位
1. 不要な特約の削除 がん特約、介護特約など、重複している保障や不要な特約を削除
2. 保障額の見直し 過剰な死亡保障を適正な水準まで削減
3. 保険種類の変更 貯蓄型から掛け捨て型への変更
4. 保険会社の変更 より安い保険料の会社への乗り換え
見直し後の家計改善効果
保険料を年間10万円削減できた場合、その効果は以下のように活用できます:
緊急時資金の積み立て: 年間10万円を5年間積み立てれば50万円の緊急時資金 教育費の準備: 子どもの教育費として積み立て 老後資金の準備: つみたてNISAなどで老後資金の準備
実践的な保険見直しのステップ
ステップ1:現状分析
まず、現在加入している保険の内容を詳細に分析します。保険証券を手元に用意し、以下の項目を整理しましょう:
- 保険の種類と保障内容
- 月額・年額の保険料
- 保険期間と更新条件
- 特約の内容と必要性
ステップ2:必要保障額の算出
前述の計算方法を使って、本当に必要な保障額を算出します。この際、以下の点に注意してください:
- 遺族年金の受給額を正確に把握する
- 配偶者の働く意向と収入見込みを考慮する
- 子どもの教育方針(公立か私立か)を明確にする
ステップ3:商品の比較検討
必要保障額が明確になったら、それを満たす商品を比較検討します。検討する際のポイントは:
- 保険料の比較
- 保障内容の比較
- 保険会社の財務健全性
- 契約条件の比較
ステップ4:見直しの実行
新しい保険の加入手続きを行います。この際、以下の点に注意してください:
- 既存の保険を解約する前に新しい保険の契約を完了させる
- 告知義務を正確に履行する
- クーリングオフ期間を確認する
まとめ:保険見直しで家計を健全化
保険の見直しは、家計管理において非常に効果的な節約方法です。多くの家庭では、年間10万円以上の保険料削減が可能であり、その効果は長期にわたって家計に好影響を与えます。
重要なのは、保険は「万が一のときの家計を守る」ためのものであり、「家計を圧迫するもの」であってはならないということです。適切な保障を適正な価格で確保することで、安心と節約を両立させることができます。
まずは現在の保険内容を見直し、本当に必要な保障は何かを考えることから始めてみてください。そして、共済や保険ショップの無料相談なども活用しながら、あなたの家計に最適な保険プランを見つけていきましょう。
保険の見直しは一度行って終わりではありません。ライフステージの変化に応じて定期的に見直しを行うことで、常に最適な保障を維持し、家計の健全化を図ることができます。